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海幕総務第5004号

海上幕僚長から各部隊の長・各機関の長あて

 標記について、別紙のどおり定める。

添付書類:別 紙

別 紙

海上自衛隊の歴史保存に関する達の制定趣旨及び運用方針

1 制定趣旨

 海上自衛隊が創設されてから40有余年を経た現在その足跡を示すものの多くは既に廃棄又は散逸しており、また、保存されているものも保存状態が必ずしも十分とは言えない。このような現状にかんがみ、海上自衛隊として、将来に向かって我が国の海上防衛に係る歴史的財産を組織的かつ体系的に保存していくことを主眼として、海上自衛隊の歴史保存に関する達を制定した。

  この達に規定する歴史保存の目的は、次のとおりである。

(1) 隊員の教育に資すること

歴史的資料は、職務を遂行する際の参考資料として、あるいは一貫性のある効率的な業務処理を実施していく上で、高い価値を有するものである。

また、過去をひもとき理解することは、自己の現在置かれている立場の重要性を悟り、将来を考える示唆を得ることから、隊員の知的教育に資するところは大である。

(2) 海上自衛隊の広報に資すること

歴史的資料を活用した広報活動や史料館等(部隊等で保有する史(資)料館(室)をいう。以下同じ。)を通じて、国民の海上防衛に対する認識と理解が得られるものである。

2 運用方針

(1) 第2条関係

ア 第1号に規定する「海上自衛隊に関する記録類」とは、海士自衛隊の行動業務等を記録した書籍類、図画、図表、写真、録音テープ、映像フィルム、レコード盤、電子計算機用補助記憶媒体、電報文、ファクシミリ及びこれらに類するものをいう。

イ 第2号に規定する「船舶、航空機及びそれらの従物」は、装備品等の中でも固有財産として管理されているものを別枠にして取り扱うこととし、その他の装備品等については、第3号に掲げる物品として取り扱うものとする。

ウ 第4号に規定する「施設」とは、海上自衛隊が所有する不動産及びその従物のうち、歴史的価値を有すると考えられる立木竹、建物及び工作物をいう。

エ 第8号に規定する「歴史保存」は、次のとおりとする。

 「史料の保存」は、海上自衛隊の歴史的事象に係る文書等、船舶、航空機及びそれらの従物、物品並びに施設を、史料の指定基準に基づき、史料として指定し、管理するものとする。

 「海上自衛隊史の作成」に関しては、海上自衛隊史取扱規則(昭和30年海上自衛隊達第5号)により定められており、海上自衛隊の沿革を明らかにするために作成するとの目的が、歴史保存の概念に一致することから、歴史保存の範ちゅうに含むものとする。

 「海上自衛隊年史の編さん」は、海上自衛隊の変遷、任務、業務の実態及びこれらを通じての教訓等を収録し次の世代に伝えるものであり、該当する期間の海上自衛隊の貴重な史料として永久に保存され、歴史保存の目的に寄与すること等から、歴史保存の範ちゅうに含むものとする。

(2) 第6条関係

ア 海上自衛隊にとって極めて重大な出来事は、単に手続に従った史料保存にとどまらず、指揮官の判断や反省、教訓及び関係者の証言等を積極的に収集、整理する必要があることから、これらの作業の実施についても含むものとする。

イ 第5号の「海上自衛隊の歴史の記録」には、海上自衛隊史の全般に係る事項を含むものとする。

(3) 第9条関係

史料管理者は、海上自衛隊の史料保存業務の主体であり、その業務は「史料の保存に係る業務」と包括的に示しているが、基本的に史料管理者は、権限内においてあらゆる資料の中から一般史料として自由に選定し、史料の指定基準に基づき指定し、保存することができる。

(4) 第10条第1項関係

ア 一般史料は、付紙第1項に基づき、次により指定するものとする。

(ア) 文書等

 海上幕僚監部の各部長、海上幕僚監部の監察官及び海上幕僚監部の首席衛生官たる史料管理者がその所掌する業務の中から指定するものとする。ただし、これら以外の史料管理者であって、保有する文書等が一般史料として適当と認める場合は一般史料に指定することができる。

(イ) 船舶、航空機及びそれらの従物

 船舶及びその従物については主として地方総監たる史料管理者が、航空機及びその従物については航空集団司令官たる史料管理者が、関係する部隊等の長及び海上幕僚監部装備部長(以下「装備部長」という。)と事前調整を行った後指定するものとする。船舶、航空機及びそれらの従物は国有財産であり、史料として活用するためには、用途廃止される前に転用の手続を行っておく必要があるので、この事務を直接実施する装備部長との調整は不可欠である。

(ウ) 物 品

 史料管理者は、当該物品の供用先の部隊等の長及び防衛庁の物品管理に関する訓令(昭和41年防衛庁訓令第9号)別表第1第3号に規定する分任物品管理官(以下「分任物品管理官」という。)と調整し指定するものとする。

(エ) 施 設

 施設は史料としての取扱いがほかの史料と異なり、法令上の管理責任等との関係が複雑で史料管理者のみの判断で般史料に指定した場合、実行上支障を来すおそれがあるので、海上自衛隊における国有財産(施設)の取扱いに関する達(昭和44年海上自衛隊達第20号)第6条に規定する海上幕僚監部防衛部長(以下「防衛部長」という。)の所掌業務を考慮して、施設を一般史料に指定しようとする史料管理者は、関係する防衛庁本庁所属国有財産(施設)の取扱いに関する訓令(昭和38年防衛庁訓令第30号)第4条第4号に規定する供用事務担当官(以下「供用事務担当官」という。)と調整した後、防衛部長の同意を得て指定するものとする。

イ 供用先の部隊等の長は、必要と認める場合は、一般史料の指定を史料管理者に要望することができる。

(5) 第10条第3項関係

一般史料に指定された船舶、航空機及びそれらの従物並びに物品は、以後物品として適切な管理を行うため、需給統制機関(海上幕僚監部は整備担当課の属する部等を指す。以下同じ。)又は補給部隊が主管区分等を変更い関係の補給部隊に通知する必要がある。

したがって、史料管理者は、一般史料の指定の旨を需給統制機関又は補給部隊の長に通知するものとする。

(6) 第11条関係

特別史料の選定に当たっては、付紙第2項を参考にするものとする。

(7) 第13条関係

ア 従来、海上自衛隊において使用された国有財産等の多くは、法令等の規定に基づき、国有財産は用途廃止の後及び物品は不用決定の後に、廃棄等により処分されていた。この使用の目的を終了したもの又は使用に供することができなくなったものは処分するという法令等の基本的考え方は、史料の保存の考え方とは相容れないものがあるが、現行法令等を逸脱しない範囲内で、物品として別の用途に主管区分等を変更する等の手続を経て史料を保存するものとする。

イ 「別に定める要領」は、次のとおりとする。

(ア) 文書等

 史料管理者が管理するものとする。ただし、文書保存について他の法令等に定めがある文書等についてはこの限りでない。

 海上幕僚監部所管の文書等の史料は、集中的に管理される方向であるが、当面は海上幕僚監部各部各課等において可能な範囲で自助努力により保存業務を実施していくものとする。

(イ) 船舶、航空機及びそれらの従物

 用途を廃止し物品に編入した後に、史料管理者が管理するものとする。

(ウ) 物 品

 当初の用途を変更した後に、史料管理者が管理するものとする。

(エ) 施 設

 当該施設を使用しながら、供用事務担当官が管理するものとする。

 これは、国有財産法(昭和23年法律第73号)第8条第1項の規定により、施設を用途廃止の後に史料として管理することはできないことによる。

ウ 史料管理者は、管理している史料を他の史料管理者に移管する場合は、歴史保存委員会並びに関係する史料管理者及び分任物品管理官にその旨を通知するものとする。ただし、寄贈品の移管に際しては、寄贈者の意向を十分考慮しなければならない。

(8) 第14条関係

史料の公開については、特別史料は海上幕僚長が、一般史料は史料管理者がそれぞれ判断するが、その際、公開の時期、範囲、方法等について慎重に考慮するものとする。

(9) 第16条関係

海上自衛隊年史については、既に「海上自衛隊25年史」が編さんされているが、今後も海上自衛隊の歴史保存のために、年史の編さんを継続して推進するものとする。

編さんの間隔が長すぎる場合は、重要な事象の関係者が死亡したり、又はその記憶が薄れたりする。逆に短かすぎる場合は、真実を語りにくく記述内容は一般的で重みのないものとなるか、又はその間に生じた事象を近視眼的に見るおそれがでてくる等一長一短がある。これらを総合的に考え、編さんの間隔は25年を超えないものとする。

したがって、25年は編さんの間隔の一つの目安であり、情勢によっては、前回編さん後の期間を短縮して次の年史を編さんすることができる。

(10) 第17条関係

委任規定に基づき史料管理者が定める必要な事項とは、史料の保存、史料館等及び部隊等年史に関する事項等を意味する。

例えば、一般史料の指定、特別史料の選定、史料の管理、史料の公開等に関する規定、史料館等の管理運営に関する規定及び部隊等年史の編さんに関する方針等である。ただし、史料管理者はそれぞれ立場が異なることから、現行の法令等及ぴ歴史保存に関する達で実施可能な事項については定めないことができる。

(11) その他

秘密又は防衛秘密に属する史料の取扱いについては、秘密保全に関する訓令(昭和33年防衛庁訓令第102号)及び秘密保全に関する達(昭和43年海上自衛隊達第76号)又は防衛秘密の保護に関する訓令(昭和33年防衛庁訓令第51号)及び防衛秘密の保護に関する達(昭和43年海上自衛隊達第75号)の定めるところにより処理するものとする。

付 紙

史料の指定基準

1 一般史料の指定基準

 海上自衛隊の歴史(創設以前を含む。)及び各部隊等の沿革を後世に伝える上で重要かつ貴重であり、隊員の教育及び広報に資すると認められる文書等船舶、航空機及びそれらの従物物品並びに施設

2 特別史料の指定基準

(1) 文書等

ア 主要な防衛力整備計画に関するもの

イ 海上自衛隊の編成に関するもの

ウ 大規模な部隊の行動を伴う事象(征務行動、演習、訓練、民生協力、事故等)に関するもの

(2) 船舶、航空機及びそれらの従物

ア 代表的な艦種及び機種であって、記念すべき節目となるもの

イ 海上自衛隊の装備史上特に技術的価値の高いもの

ウ 海上自衛隊の重要な事象にかかわった特に貴重なもの

エ その他隊員の教育及び広報に特に有効であると認められるもの

(3) 物 品

ア 海上自衛隊の変遷を示す上で特に重要であるもの

イ 我が国又は海上自衛隊の歴史上重要な事象又は人物に関係する物品で、特に貴重であると認められるもの

ウ その他隊員の教育及び広報に特に有効であると認められるもの

(4) 施 設

ア 我が国にとって歴史的に重要であり文化的価値が高いもの

イ 海上自衛隊の歴史上重要な事象又は人物に関係する施設で、特に貴重であると認められるもの

ウ その他隊員の教育及び広報に特に有効であると認められるもの